ジェットコースターらしきものを柏の葉に敷く構想
アリオ柏の記事で路面電車を敷きたいという件について進展があったのか調べていたところ、表題の構想を見つけてしまいました。
出所
市役所では施策に関することを公表していますから、公式サイトで探せば路面電車の件で何か見つかるだろうと思ってサイト内検索をかけてみました。
そうした中から柏市総合交通計画の進捗報告を見つけて読んでいたところ、見慣れない「エコライド」という文字を見つけました。
「エコライド」
エコライドとは、ジェットコースターを公共交通機関の形に仕立て直したもの です。
どうやらジェットコースターはその絶叫性によらず、かなりエコなようです。こちらの本によれば下のような特性があり、都市部に導入しやすいと言及しています。
- 車輌側に機関部を置かない
- 車体の軽量化になる → 省エネ
- 軌道の軽量化になる → 省エネ
- ブレーキには磁石による反発力を使う
- 消耗部品がない → 経費が安くなる
- 急曲線で線路敷設ができる
- 自由なコース取りができる → 建設費が安くなる
実験線で試運転する動画がYouTubeにありましたので、貼り付けておきます。
線路はまんまジェットコースター、車輌はケーブルカーとロープウェイを足して二で割ったような趣ですね。
現実的?
これ、技術的にどうなんでしょうね。実験線での動画と先ほど書いたとおり、まだ実用には至っていません。
災害発生時にはどう緊急停止してどう再開するのでしょうか。向かい風が強く吹くときはまともに次の駅へ辿り着けるのでしょうか。乗客が増えたときは連結するのでしょうか。
そのあたりの課題があろうと思うのですが、ネットで漁った資料だけだと分かりませんでした。
本当に導入するの?
この進捗報告によれば、
本市の都市軸を補完し,都市拠点や地域拠点を相互に連絡しながら交流機能を強化する新しい交通システムの導入可能性を研究していく。
という位置付け。つまり柏市内の三つの中心地域=柏・柏の葉・沼南のそれぞれの地域内の動線を強化するべく設けたい交通システムの一つとして「導入の可能性を検討」するとのことです。新しい交通システムの例として相乗りタクシー「カシワニクル」と共に挙げられています。
その中でエコライドは
エコライドに関しては,柏の葉方面で試験的導入が可能か検討している。
という状況のようで、まだまだ机上で検討する段階を脱していません。
というか、そもそも脱する見込みがあるのかも分かりません。
メーカーの泉陽興業によれば、エコライドの研究は平成18年~平成22年まで行われたようで、もう5年前の話です。平成23年以降で新たな話を見かけず、ずっと「検討」のままの「構想」どまりです。
併記されているカシワニクルは車輌も人員も既存のタクシーから流用でき、運用システムを構築すれば始められます*1。
それに対してエコライドは軌道を敷かなければいけませんので、おいそれと試せません。
また実験的要素の強いものを公共交通に供して良いのかという信頼性の面でも懸念がありますから、なかなか難しいのが現状なのでしょう。
ところで路面電車は?
この進捗報告へのリンクが載っている議事録ページを読みますと、
柏の道路事情を考慮すると、LRTなどの未来の乗り物を組み込むのは、大変厳しい
ということでハナから匙を投げられてしまっていました。そりゃそうですよね。
文中リンク以外の参考資料
- http://www.its.iis.u-tokyo.ac.jp/
- http://kashiwa-its.jp/sol_5/tech_j.html
- http://www.nozomi.iis.u-tokyo.ac.jp/chiba2013/43_10201_iis2013_Ecoride.pdf
- http://www.nozomi.iis.u-tokyo.ac.jp/iis2014/iis2014_00_SudaLaboratory_all.pdf
*1:とはいえ、スキームを組むのが一番大変なのでしょうけど